ISSUE10 編集後記 (201611.22)

“ニュルブルクリンク北コース―通称ノルドシュライフェ” ドイツ西部、ベルギー国境付近の深い森に佇む全長約20㎞のサーキット。
大陸のおだやかな風と豊かな大地のレイヤーは旅人をやさしく包んでくれます。しかし、大地を削りとったトラックは、まるで巨大な積乱雲のなかから一筋の稲妻が大地にむけて、強烈な力でよどんだ空を貫いていく、そんな世紀の末路を感じさせるような姿に重なります。
立地を生かした急勾配に狭いコース幅、ほとんどランオフエリアがないブラインドコーナーが永遠とも思うほどに続くこのサーキットは、世界中の自動車メーカー、愛好家たちを強い引力で惹きつけます。ある人は愛車のステアリングを握りニュルを制する夢に挑み、ある自動車メーカーはエンブレムを隠して近隣の小さな村に潜み、ひっそりとニュルで新型車の極秘テストをし続けています。
今号は、そんなクルマ好きに数多くの物語を語りかけるニュルへのグランドツーリングへ誘います。フランクフルトからアウトバーンをライン川沿いに駆け上がり、ニュルでのレーシングタクシー体験とドイツの伝統都市をめぐる旅の提案です。クルマは当たり前の日常でありながら、冒険という非日常を演出してくれる心強い相棒となってくれることを感じて頂ければと思います。
またアーティスティックな3名の写真家による5ブランドの最新カーラインナップ撮り下ろしや根津美術館、小石川植物園、築地市場など、いまあらためて巡りたい都心のスポットの特集もお楽しみください。


『KTOUCH』編集部