一杯のカクテルに誘われて
オーセンティックバーの楽しみ方 vol.2
居心地のいいバーとの出会いは、いい友人に出会うのと同じくらい幸運なこと。世界が認めた天才、伝説を継承する正統派、新たな風を吹き込む気鋭。個性の異なる3人の酒場の主に、バーとの付き合い方を教えてもらった。
photography_Takao Ohta Edit & Words_Kiyoshi Shimizu (lefthands)
七代目、Mr.マティーニとカクテル談義を楽しむ
Mr. マティーニと呼ばれ、日本のバー文化を牽引してきた初代の意志を受け継ぐ大竹 学さん。彼のマティーニもやはり、「基本」であり、かつ「自由」だった。
店の一番人気はやはり特注のカクテルグラスで供されるドライマティーニ。
「お客さまとバーテンダーをつなぐカクテル。 ― 大竹 学」
Mr. マティーニと呼ばれた初代チーフバーテンダー今井 清さんのマティーニは、かなりドライな味わいだったという。現在チーフを務める大竹 学さんのマティーニもドライを基本としている。「冷蔵したゴードンジンを主として使っています。しかし、好みは遠慮なく仰ってください。カクテルはお客さまとバーテンダーをつなぐコミュニケーションツール、お任せではもったいないです。今井もお客さまとの会話の中から最高の一杯を探し、提供してきたはずです」
今井さんの教えによればバーテンダーには3つのステップがあるという。まず、教科書のレシピを覚える。次に時代に沿ったレシピを覚える。そしてお客さまの好みのレシピを覚える。「この3つが揃ったときに、コミュニケーショを超えた、最高の感動と満足をお客さまに提供できるのではないでしょうか」芸事で言う守破離の境地に通じるのではないだろうか。歴史に敬意を払いつつ、自分だけのマティーニを探してみる。そんな楽しみがこのバーにはある。
ROYAL BAR パレスホテル東京
千代田区丸の内1-1-1 パレスホテル東京1F
☎ 03-3211-5318 11:30 〜midnight
土・日・祝 17:00 〜 midnight 無休