日本食を支える“ だし”。フードディレクター・寺本りえ子さんも日ごろから日本各地の鰹節、昆布、あごなどを取り寄せ、だしをとっている。そんな料理の基本である“ だし” を実際に感じる旅へと出かけた。目的地は都心から一時間半、静岡県沼津港。
Photography_Tetsuya Ito Navigator_Rieko Teramoto Edit & Words_Maki Kakimoto
“ だし” と真摯に向き合う「ミカコーポレーション」を訪ねる
都心からLEXUS RX を走らせ、二時間弱で着く沼津港はドライブ先にも最適。
〝だし〟という言葉や存在はとても身近だけれど、どういう工程で加工しているんだろう? 目で見て、肌で感じたいと思った寺本さんは、沼津港近くにある「ミカコーポレーション」を訪ねた。
創業から70年続く水産加工業の会社「山平水産」が、平成25年に設立したのが「ミカコーポレーション」。「設立したのは、天然のだしの美味しさをもっとたくさんの人に伝えられたらいいなぁという想いから。たくさんあった水産加工業者が今では一、二社に減ってしまい、そのタイミングでわが社ももう一度考え直したんです。そして、もう一度素材とじっくり向き合ってみよう、と。嘘偽りなく時間と手をきちんとかけることで、無添加の美味しい節やだしパックを作ることができました」
〝だし〟と一言で言っても、実際に自分でだしをとっている人は意外と少ないのかもしれない。今ではすっかり、世の中にはさまざまなだしパックを見かけるようになった。
「もちろんだしを自分でとってもらいたいという気持ちはあります。でも、面倒なことは続かない。そこで、本当に純粋に無添加のだしパックやふりかけなどを作ろうと決めたんです。世にでまわっているだしパックは慎重に吟味してもらいたいですね。うちのだしパックを使った時に、味が薄いとご意見をいただくこともありますが、本来はそれが当たり前。味が濃いものは、うま味調味料をくわえていたり、味付けされているものが多いです」
PROFILE
寺本 りえ子
音楽活動を経て、フードディレク ター、料理研究家の道へ。ワーク ショップ、発酵食の普及やカフェ アドバイザー、商品開発や食育に も精力的に取り組む。海外での ワークショップもスタートした。