何色にしようかな。最近、クルマの塗り絵を楽しんだ読者もいるかもしれない。クルマのカラーといえば、近年では特徴的なリミテッドカラーやニュアンスカラーが台頭し、以前にも増して色彩豊かなクルマが目を引くようになった。今回は、クルマのボディカラーにまつわる様々な逸話や、技術にまつわるアレコレ、また後半では爽やかな陽射しに輝く夏色のライフスタイルグッズを紹介する。
Photography_Ryohei Ohizumi, Maruo Kono (Car) Styling_Hidetoshi Nakato Words_Ryuta Morishita
ボディカラーにまつわるエトセトラ
色ひとつとってみても、各メーカーはそれぞれにオリジナリティを追求してきた歴史を持つ。ポルシェの「マイアミブルー」、ジャガーの「ポルトフィーノブルー」など世界有数のリゾート地の名を冠したものや、マクラーレンを代表する色のひとつ「ボルケーノ・オレンジ」は創業者ブルース・マクラーレンの母国ニュージーランドのナショナルカラーに由来する。ランドローバーの「アイガーグレー」は、アルプス三大北壁のひとつで、多くの冒険家を惹きつけるスイスを代表する名峰「アイガー」からその名がつけられ、ランドローバーがもつ力強いイメージと共鳴するものになっている。
また憧れのクルマのカラーネームの最後に「マイカ」「パール」「シャイン」「シリカ」という言葉を見かけたことはないだろうか。これはコトバに対する形容詞と同じように、色をいっそう引き立て、特別なクルマに仕立てるためのエッセンスで、雲母片(= mica /マイカ)による透過性のある顔料粒子を使ったものは「マイカ」や「パール」などお馴染みの名で呼ばれる。微粒なアルミ片(=metallic /メタリック)を用いて、キラキラとした美しい輝きで光を反射させる「シリカ」や「シャイン」も高輝材を用いた輝度の高いカラーリングの名称である。最近ではポルシェのニュアンスカラーの代表である「クレヨン」など、光輝材を含まないソリッドカラーも、ラグジュアリーセグメントでは人気が高くなっている。選ぶ側にとっては、悩ましいほどの選択肢があり、これもクルマ選びの醍醐味のひとつであろう。
知性と清涼感を醸す、マリンなブルー
静けさのある海から、賑やかなリゾートまで。色の濃淡によって、様々な“ 顔つき” を見せるブルー。落ち着いたムードだけではなく、若々しさも演出できる。
※色の入れ換えが多いため、時期によって設定出来ない場合があります。
従来のカラーリングの常識を覆すものとして、’18年にレクサスがLEXUS LC500 とLC500h のリミテッドカラーとして発表した「ストラクチュラルブルー」がある。生きた宝石とも呼ばれる南米に生息するモルフォ蝶の翅の魅惑的なブルーを表現するため、開発に15年も費やした。いわゆる構造発色顔料と呼ばれるもので、角度や光の当たり方によって、人の目に大胆なカラーシフトを見せ、存在感を引き立たせるのだ。
色の多様性は、個性を重んじる時代性ともリンクする。財布やバッグなどにイニシャルを入れるサービスや、女性であればパーソナルカラーを重んじるメイクなども人気だ。もちろん、ソリッドなブラックやグレーなども、硬派でクールな雰囲気を醸すことができるが、思い切った明るい色のチョイスは、洒落の演出としてはまたとないものである。海岸線を風を切って走るセンセーショナルなレッドなど、ドライブシーンを思い描いて色を考えてみるのも一興だ。ちなみに山口百恵が歌った〝真紅なポルシェ〟は、「ガーズレッド」と呼ばれ、’70年代前半から存在するポルシェの代表的なカラーである。
次ページからは、彼の地の美しい空と海の情景が浮かぶポルシェの「マイアミブルー」と、大胆不敵なフレッシュさを感じさせるレクサスの「ネープルスイエローコントラストレイヤリング」と同系色の、ライフスタイルを豊かに彩る夏らしいアイテムを紹介する。ファッションやインテリアなど、色のレイヤリングが生み出す相乗効果を考えて選ぶと、カーライフはより一層実り多きものとなるだろう。
身も心も弾む、フレッシュなイエロー
感性を刺激するヴィヴィッドな色合い。夏にぴったりなイエローは、身に着けるだけで軽快な気持ちにさせてくれる。定番のサングラスにドライビングシューズやグローブ、インテリアまで、多彩に揃う。
※色の入れ換えが多いため、時期によって設定出来ない場合があります。
※掲載商品の販売は終了している場合がございます。ご了承ください。
ポルシェ、レクサス、ジャガー、ランドローバー、マクラーレンのオリジナルイラストをこちらからダウンロードできます。あなたのお気に入りの色でカラーリングしてみて。