大海原をまっすぐ割るように駆け、ビーチラインで海風を受け、ここが日本とは思えない一面の田園風景を楽しむ。起伏に富んだドライブウェイの果てに、江戸時代の情緒を色濃く残す水郷の商家町へ。
Photography_Maruo Kono, Kenta Yoshizawa Words_Miyako Akiyama Illustration_Soga Johnny
悠久の時が流れる佐原の商家町
海から田園へ—パノラミックなドライブを楽しんできたが、そろそろ羽を休めることにしようか。
まず立ち寄るのは、国内有数のパワースポットとしても知られている「香取神宮」。杉の高い木立から木漏れ陽が注ぐ参道を進み、朱塗りの楼門が現れたとき、その荘厳な姿に自ずと頭を垂れたくなるはずだ。古くから国家鎮護の神として奉られてきた「香取神宮」は、現在は勝運・開運・災難除けの神として信奉されている。
続いて水郷の街、佐原へ。川幅2メートルほどの小野川をはさんで左右に古い家並みが残るこの商家町は、江戸期には米や酒、醤油などを積んだ船が行き交い、水運都市として栄えた。柳の葉陰濃い川べりをそぞろ歩けば、自分がいつ、どこにいるのか見失ってしまいそうで、迷子になったような危うい面白さがある。
さて、商家町のあちらこちらで真っ白なのれんがはためくことに気づくだろうか。これが今宵の宿となる「佐原商家町ホテル NIPPONIA」のサインだ。古民家を客室や飲食店にリノベーションする「NIPPONIA」は、環境や景観をできる限りそのままに活かすサスティナブルな地域再生プロジェクト。宿泊、食事はそれぞれ異なる棟で行われるため、さながら江戸の街そのものが一夜の宿と化したよう。時空を超えて遊んだ夏のドライブにふさわしい大団円だ。
江戸情緒を残す街に最新モデルのクルマ、時のコントラストが注目を集める。